【眠る】心身の活動が休止し、目を閉じて無意識の状態に入る/一時、活動をやめた場外になる
風の季節である。風そのものに季節は無いのだろうが、「春の見え始めたころ」という時期が流行時とでもいおうか、風邪にやられる方が目立つ。さて、風邪に限らず病というものにやられた時はまず私たちは「寝る」。「寝」という文字は「清浄な神殿」の意。貴人の病人がここに寝たことから寝屋となり、ひいては「寝台に寝る」とひろがる。「寝る」という行為よりはその行為を行う場所(寝室)に意識の重点があるといえよう。これに対して「寝る」という行為に重点を置いた語が「眠る」である。編の「目」は文字通り「目」をあらわし、つくりの「民」は「冥(おおう)」という意味。瞼が目を覆う、という行為から、目を閉じて眠りに入るという意味を示すことになる。すなわち風邪を引いたら「寝なくては」と主に、ベッドに横になれば自然と「眠り」に落ちてしまうという具合である。
“Virtual Eye 第50回 眠る(2000年4月)” の続きを読む